思考のための道具


昨日、一昨日と「考える」ことをテーマにした。



今日はその「考える」ための道具を紹介したい。



一口に「考える」と言っても、様々な「考える」がある。例えば、アイデアを出す、アイデアを整理する、優先順位をつける、考えをまとめる、分析する、選択する、決断する、空想する、連想する、思い出す・・・



家を建てる大工さんの工具が色々あるように考えるための道具、「考具」も様々だ。何を目的にするかで使う考具が異なってくる。



アイデアを出したり広げたりするには、ブレインストーミング、マインドマップ、マンダラート他がある。アイデアを整理したりまとめたりするには課題(分解)の木やマトリックスがあるし、分析のためのツールには経営コンサルタントがよく使う様々なフレームワークが有効だ。



しかし、ここではその考具の一つひとつの説明をするつもりはない。昨日のテーマである「難しい」(悪魔の言葉)を発することで思考停止になる処方箋のみに絞って考えてみよう。



問題が「難しい」と感じられる理由は様々だが、思考停止になる場合の難しさの多くは当人にとって問題が「大き過ぎる」か「複雑過ぎる」かのどちらかがほとんど。どちらのケースも問題を漠然と捉えているために起こることが多い。つまり、第一の処方箋は問題を具体的な形に「見える化」すること。そのためには「マインドマップ」は有効な手段の一つである。マインドマップによって可視化された問題は幾つもの種類やレベルに分かれ、理解しやすくなる。人間は理解できないものに恐怖心を感じるのが本能だからまずは理解することに重点を置く。(不安感も同じ。不安を感じている時というのは問題が漠然としていて、何をどうすればよいかがわかっていないから。問題点を明確にし、やるべきことを決めると覚悟が定まり、驚くほど不安感は解消されるものだ。)次に取り組むべきことはその分解された問題をグルーピングし、優先順位をつけること。その作業には「課題の木」が有効だ。



マインドマップ」にしろ「課題(分解)の木」にしろ、思考のツールとしてはすっかり一般的になっているのでここでは説明は省く。が、これらの強力な考具を使いこなすためには訓練を積み重ねることが重要だ。身の回りの問題や取り組むべき課題があれば、是非、試してほしい。その練習の積み重ねが思考することを癖付け、大きな問題にも複雑な問題にも立ち向かう脳力を、勇気をもたらすことになるから。



「常に考える」ことを個人が続けることにより、学校や企業が今よりもずっとずっと強く、洗練された組織になっていくはず。そして、その集合体としての国家の強さにつながっていくであろう。遠回りに見えて、これが一番確実な方法であり、唯一の国民、国家を救う方法だと信じている。