切腹

島田紳助が芸能界を引退した。



あまりにも突然の引退に驚いたが、暴力団との関係が取り沙汰されてとのこと。実際の関係がどうであったのか、過去にも違法行為はなかったのかなど、彼の所属する吉本興行が処分を検討する要素は幾つもあったにもかかわらず、島田紳助本人が自ら最も重い処分である引退を決断した。



まさに「切腹」である。



記者会見の最後に「介錯をしてくださり、ありがとうございました」と言っていたことも象徴的だった。



その意図は何なのだろう。



自分がお世話になった芸能界と闇の世界との関係を断とうとしたのではないか。仲間たちに同じ間違いをさせたくなかったからではないか。自らが捨石となって。



孫正義さんのことを幕末の志士のようだと賞していたが、彼もまたその一人であったと感じた。



吉田松陰の言葉が頭を過る。



死して不朽の見込みあらばいつでも死すべし。
生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。



今回の切腹で島田紳助が遺した想いは彼の「教え子」たちに間違いなく引き継がれていくことであろう。



そして、



現代の志士は切腹をしてももう一つの命を持っている。



彼には「もう一つの命」を使って「大業」を成してもらいたい。



その「見込み」は必ずあるのだから。