「神の粒子」とも呼ばれているヒッグス粒子がついに発見された。
厳密に言えば、最終的な確認はされていないものの99.9999%の確率で存在が「発見」されたとのこと。
日本経済新聞WEB版 2012年7月4日号からの抜粋
ヒッグス粒子とみられる新粒子発見 国際チーム 年内にも確認
2012/7/4 20:48日本経済新聞 電子版805文字
【ジュネーブ=藤田剛】欧州合同原子核研究機関(CERN)は4日、物の質量(重さ)の起源とされる「ヒッグス粒子」とみられる新しい粒子を発見したと発表した。2つの国際チームによる大型加速器を使った探索実験で、新粒子が99.9999%以上の確率で存在するとの結果を得た。年内にもヒッグス粒子と最終的に確認される公算が大きく、成功すればノーベル賞級の発見となる。
CERNのホイヤー所長は同日、「ヒッグス粒子と(特徴が)合致する新粒子の発見に成功した」と述べた。新粒子がヒッグス粒子と確認されれば、宇宙の成り立ちの解明が大きく前進する。
実験したのは、東京大学など日本の16の大学・研究機関も参加する「アトラス」と、欧米の「CMS」の2チーム。
CERNによると、今年6月までの実験で、両チームともヒッグス粒子とみられる新粒子が存在する確率が99.9999%以上になった。昨年末の段階ではアトラスは約98.9%、CMSは約97%の確率で、「発見の可能性が高まった」としていた。
99.9999%という確率は物理学の世界での「発見」に相当するが、新粒子が予言されているヒッグス粒子とどこまで一致しているかを確認するため、今年いっぱいの実験で詰める。
新粒子の重さは陽子の120倍と、これまで発見された素粒子(物質の最小単位)の中では比較的重かった。
宇宙の始まりである137億年前の「ビッグバン(大爆発)」で生まれた素粒子は、最初は質量を持たず光速で自由に飛び回っていた。ビッグバンの100億分の1秒後にヒッグス粒子が生まれて宇宙を満たしたため、素粒子は動きにくくなり、質量が備わったとされる。
実験では一周27キロメートルの円形加速器で陽子同士を光速近くで衝突させ、ビッグバンを再現。ヒッグス粒子は瞬く間にほかの粒子に変化してしまうため、飛び散った粒子の中からヒッグス粒子の痕跡を集め、存在する確率を割り出していた。 以上
そもそも「素粒子」とはそれ以上分割できない基本の粒ということだが、ウィキペディアでわかりやすく解説されているので抜粋させてもらおう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%A0%E7%B2%92%E5%AD%90
素粒子は大きく2種類に分類され、物質を構成する粒子をフェルミ粒子、力を媒介する粒子をボース粒子と呼ぶ。物質を構成するフェルミ粒子は更に、クォークとレプトンに分類される。クォークやレプトンの大きさはわかっていないが、仮に有限の大きさがあるとしても陽子のスケールにおいても点とみなすことができる大きさである。素粒子間の相互作用を伝搬するゲージ粒子のうち、重力を媒介するとされる重力子も未発見である。 以上
最後の「重力を媒介するとされる重力子も未発見である」というのが「ヒッグス粒子」であり、今回発見されたものということになる。
全ての物質に質量を与えるもととなったことで「神の粒子」と名付けられた。
極小の素粒子研究が無限とも思われる宇宙の起源の解明の鍵を握っているというのは非常に興味深い。
今回の発見が単なる物理学や宇宙学の発展に留まらず、人類の繁栄に繋がるものにしてこそ真の「神の粒子」の発見と言えるのではないだろうか。