防犯カメラに囲まれた社会

今夜放送された「ガイアの夜明け」では「真夏の防犯カメラ 密着24時〜ここまで来ていた ニッポンの技術〜」と題して日本中に仕掛けられている「防犯カメラ」が取り上げられていた。



http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20120807.html



「防犯」というキーワードを掲げられたら誰も反対することはできない。



あたかも免罪符を手に入れたかのように大型商業施設や街の商店街、マンションのオーナー達がこぞって防犯カメラを設置している。警察も全面的にバックアップ。中でも東京都足立区の例は衝撃的だった。区内のとある商店街には48もの防犯カメラが仕掛けられていのは区の方針からであり、犯罪発生率が都内ワースト1という汚名が他区に比べてのマンション賃貸料の低さにも表れているという。その汚名を挽回するためにも防犯カメラが犯罪防止の切り札のような役割が与えられているかのような錯覚さえ覚えた。



番組のアンケート結果によると8割以上の人が防犯カメラに映ることに抵抗感を示さず、防犯のためには必要悪であると感じているという。



世界でも最先端の技術が日本にあり、防犯カメラに収められた映像の顔認識技術も実用化され、既に様々な場所で活用されている。



ハリウッドのSF映画が頭を過る。



街中に設置されたカメラに顔や姿が映し出され、認証技術によって誰がいつどこにいるかが常に把握されている社会。



オーウェルビッグブラザーが支配する社会。



「防犯」という聞こえのよい言葉が掲げられ、人々の思考がストップしている間に「監視社会」が進んでいく。



監視社会にはメリットも多いのだろうけれど、そこから失うものを意識に上らせず、社会的な議論の遡上にも上げないまま「防犯カメラに囲まれた社会」になっていくことだけはご勘弁願いたい。