世界人事データベース

「世界人事データベース」



その言葉を初めて実際に目にしたのは日本経済新聞の中だった。感慨深さを味わうと同時に何かわだかまりが心の中に残った。



それが昨日のブログを書いた時に未来の社会に対する不安なのだと気づいた。



防犯カメラに囲まれた社会
http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120807



オーウェルが描いたビッグブラザーの世界に近づいていると。



世界共通の人事データベース
2012/7/30付日本経済新聞 


同じ企業グループ内でも国が違えば、同水準の地位であっても「係長」と「チーフ」など肩書が分かれる場合がある。どちらかに統一することもあるが、肩書はその国の文化や歴史を反映しており、簡単にはいかない。共通通貨のような人事のモノサシを作成し、各国の人材を同じ土俵で評価できるようにするために使うのがグローバルデータベース(DB)。

 職務経験のほか、評価や報酬についても一定の指標をもうけ、国境を越えて比較できるようにする。たとえば新工場の工場長が必要になった際、条件に合う候補者を世界中の関係会社からすぐに選べる。世界で最適な人材配置をしやすくなる。以上



昨日の「防犯」という言葉が免罪符のように使われるのと同じように「効率」や「最適化」のような言葉も物事の背後にある意図や力を容易に押し隠してしまう。



世界共通の人事ベースは企業内に留まらず、いずれは国家が管理するようになり、いつの日にか世界政府が世界の全人類のデータベースを握るようになる。



近い将来100億にも到達するであろう人口の一人ひとりの情報がDNAから管理され、日々の行動が記録されていく。それら膨大な情報の全てがデジタル化され、蓄積され、出生から進学、就職、結婚、死を迎える時まで、まさにゆりかごから墓場まで、個人の適正と社会のニーズから人生が決められていく。



個人の自由は限られ、限定されていることにすら人々は気づかなくなる。



むしろ究極の幸福を得たと信じるようになる。



それがビッグブラザーに操られていることに気づきもせずに。



いや、



それはハリウッド映画でも未来の世界の空想でもなく、もしかすると今我々が棲んでいるこの社会も同じ仕組みで動いているのかもしれない。



ただ単に我々が現存する世界人事データベースの存在を知らないだけなのかもしれない・・・