空気の指揮者

空気を自由に操る人がいる。



多くの人を前に言葉を発し、思うままに聴衆とその空気を自在に操る。



「脅威のプレゼンテーション能力」



持って生まれたものもあれば血の滲むような訓練で培われたものもある。



カリスマ性や人としての魅力と言えば簡単に片付くのかもしれないけれど、話はそう簡単ではない。



人々の感じている思いを微妙なレベルで吸い上げ、その思いに対応する答えを自分の中に蓄積している膨大な量の語彙や表現と照らし合わせながら、一つずつ丁寧に選び抜く。その思いを伝える時の伝え方にも細心の注意を払う。



それが空気を操る人がほぼ無意識的に行っていること。



いつの日か、



空気の指揮者になれるように、



空気の揺らぎ、自分の心の揺らぎ、タクトを振る自分の腕の揺らぎを感じ取り、



コントロールできるように、



訓練を積んでいこう。



自分には持って生まれたものはないのだから。