その日に備えて −ハイパーインフレ−

今年の月一企画は「その日に備えて」というタイトルでリスクマネジメントについて考えることにしている。



3回目の今日は、「ハイパーインフレ」という内容で暫し考えてみたい。



自民党が民主党から政権を奪還し、安倍首相の下「アベノミクス」で株価は急上昇している。「日経平均、12年度23%上昇 期末株価3年ぶり上げ幅」という記事も載ったばかり。



本格的な景気回復への期待が膨らむ一方で「ハイパーインフレ」の懸念も頭をもたげてきている。



「ハイパーインフレ」とは、急激にインフレが進むこと。1年で1〜3パーセント程度のインフレに対して、年率100、200%も物価上昇することを指す。



ハイパーインフレが起きる原因は単純だ。国の債務が大きくなり、返済できないという不安が大きくなることで国としての信用を失くし、その結果、お金の価値が下がって発生する。国の信用がなくなればその国の発行するお金も信頼されなくなる。単純な話。昨日まで100円で変えたものが1000円、2000円出さなければ買えなくなってしまう。



こうなると今までせっせと貯めた貯金は紙くずのようになってしまい、借金は逆にあっと言う間に返しやすくなる。



1980年代の終わりに南米アルゼンチンでハイパーインフレが起き、1年間で物価が50倍にもなり、経済に大混乱を起こすだけでなく、国民の半数以上の人が職を失い、路頭に迷ったという。ジンバブエでは月間50%のハイパーインフレが続いた結果、国庫金が217ドル(約19700円)になったと先月発表があったばかりだ。



どこか遠くの国、発展途上国でしか起こらないと安心してはいけない。



実際日本でもハイパーインフレは過去に起こっている。第二次世界大戦中に巨額の債務を抱え、敗戦に終わった直後からそれ以前の物価と比較して70〜220倍もの物価上昇を招いている。



発展途上国や戦争という特異な状況がハイパーインフレを招いているから心配はないと思うのはあさはか。現在の日本の借金はついに1000兆円を超え、GDP比でも200%を超えている。これほど財務状況が悪化をしている国家は世界中を見渡しても1つも存在しない。これが特異な状況でないと誰が言えるだろうか。



安倍首相がハイパーインフレを否定しているからと言って、それを100%真に受けてはいけない。(それこそが「クリティカルシンキング」(批判的思考)http://d.hatena.ne.jp/norio373/20121030 であり、「幼児化する日本」 http://d.hatena.ne.jp/norio373/20130316 からの脱出なのだから)



リスクマネジメントとして、「もしもの」状況を考えたとしたら、どんなことができるであろう。「その日に備えて」何ができるだろう。



一般論であり、素人考えではあるが、下記のことが挙げられる。


  • 実物資産を持つ(不動産、土地、金<ゴールド>)
  • 外貨資産を持つ(ドル、ユーロ、他通貨、箪笥預金が功を奏すことも)
  • 海外分散投資(外国株、外国国債他)
  • 円の箪笥預金(お勧めはしたくないけれど、非常事態の預金封鎖対策に。上記のドルと同じ。)
  • 住宅ローン(変動金利)がある場合は、少しでも早く繰り上げ返済をする、固定金利に変える

そして、



何より「自分の生きる力」を磨いていくこと。



この世の中、何が起きてもおかしくはない。



非常事態が起こったときにパニックにならず、冷静に行動を取れるようになるためにどんな自分でありたいのか、どんな自分になりたいのか。



そのために何をすべきなのかを考えて「そのい日に備えて」おきたい。



月一企画2013 バックナンバー



その日に備えて −原発が再稼働する日−
http://d.hatena.ne.jp/norio373/20130228

その日に備えて −巨大地震−
http://d.hatena.ne.jp/norio373/20130131