先日のブログでトルストイの名言を引用した。 (カンブリアの共通点)
幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。
「カンブリア宮殿」というテレビ番組に取り上げられる優秀な企業にも同じことが言える。
改めてこの名言を考えてみたくなった。
今日と明日でそれぞれ「幸せの形」「不幸の形」について思考を広げてみたい。
今日は「幸せの形」。
幸せな人、幸せな家庭には同じ空気が流れている。
みんなが笑顔でいる。自分らしくいる。それでいてお互いがお互いのことを考えている。みんながみんなのことを思っている。感謝の気持ちを持っている。自分のしていることを楽しんでいる、誇りを持っている。未来に明るい希望を持っている・・・
確かに幸せな人、幸せな家庭、幸せな会社には似たような空気で満たされている。
ある本を読んで膝を叩いた。
少し長いけれど、そのまま紹介したい。
人間全体の幸福度に関連する要因のうち、「金持ちか」「出世したか」「結婚しているか」といった外部要因が左右する幸福度は10%ほどしかありません。「健康かどうか」とか「住んでいる地域の気候が温暖か」といったことも研究の結果ほとんど幸福感に影響がないことが明らかになっています。
実は大半を占めているのは次に紹介する「3つの考え方」です。例えばお金や地位を実際に得たかどうかという外部環境よりも、お金や地位に関係なく夢中になって仕事に打ち込んでいるかどうかということの方が遥かに幸福度と関係していて、さらにその奥には幸せになるために必要な考え方の存在があるのです。逆に言えばこの考え方を持っている人は仕事でも成功しますし、家庭も円満になります。
その3つの考え方とは「感謝」と「許容」と「気づき」と呼ばれるものです。
「感謝」とは他の誰かとの人柄だったり、道徳的な行いの素晴らしさを強く認識することです。この考え方を強く持った人は、自分たちにしてくれたことをありがたいと思うだけでなく、そうでない一般的な良い行いや良い人々にも感謝できます。それに、神様や自然や動物といった人間ではないものに対しても感謝することができます。感謝ができる人間は、同じような体験をしていても、過去の思い出から幸福感を味わう力がとても強くなります。
そして「許容」の考え方を持った人は、自分に害をおよぼした人や過去の体験を許すことができます。許すことで過去にとらわれず、悲しみや怒り、復讐心といったネガティブで誰も得をしない感情から自由になり、心が穏やかになります。感謝が過去の思い出から幸福を引き出す力とすれば、こちらは過去の記憶の中にある不幸から解放されるための力だと言っても良いかもしれません。
最後に「気づき」とは、「今この瞬間からの幸福」に気づける力のことです。同じようなものを食べ、おなじようなものを見て、お内容な道を歩いていても、「美味しい」とか「美しい」とか「気持ちが良い」ということに気づく人と気づかない人がいますが、その差がずいぶんと幸福感を左右しているのです。
そして、作者は「過去にも、現在にも、私たちの周りにはいくつも幸せなことがあるのに、それに気づいて味わえる人と、そうでない人がいるのです」とし、「最近のポジティブ心理学の研究の結果明らかになったことは、人は成功したから幸福になるのではなく、こうした考え方にうよって幸福になったからこそ、仕事や家庭で高いパフォーマンスを発揮し、その結果成功するのだということ」としている。(下記P234〜237)
サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)
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そして、この本をこう締め括っている。
最後に必要なのが未来に対する幸福感とし、夢は「叶えた結果幸せになるもの」ではなく、「叶えようが叶えまいが持っているだけで幸せになるものなのです。中略
もしみなさんが今、人生がうまくいってないから夢なんて見られない、と思っているのだとしたら、ポジティブ心理学的な答えは全く逆です。夢を見ていないから人生がうまくいかないのです。
この本が自己啓発のカリスマ講師や心理学者によって書かれているのではなく、統計学者が書いていることに大きな意味がある。
「幸せの形」に決まった「形」はなくとも、それを感じるための手法が現在の科学者によって明かされていることに多少の驚きを感じるとともに深い納得感を持つことができた。
一人でも多くの人に伝えたい、
そう思った。