数年ぶりに会ったその人は輝きを失っていた。
その代わりに、
落ち着きや静けさ、ゆったり感やはんなりを身につけていた。
一言で表すと、
成熟していた。
それでもかつて感じた輝きは何らかの理由で封じ込められているのか、一時的に失われているのかはわからないけれど、残念に感じたことは確か。
「全然変わらないですね」
お互いにそう言い合ったことを思い出してハッとする。
相手も自分に対して同じように感じてはいないだろうか、と。
尾崎豊の古い歌が頭の中で蘇る。
心をいつでも輝かしていなくちゃならないってことを。
トイレの鏡に映った疲れた男がいた。
それが他でもない自分だと気づいてハッとする。
「輝きを失った人」は他の誰でもない自分なのだ。
他人のことをとやかく言う前に自分が輝かなければならない。
自分の心を再び輝かしたいと思った。