不審者現る??

 

とある駅の周りを歩いていた時のこと。

 

中東系の外国人男性二人組が物陰で不審な動きをしていた。

 

キョロキョロ周りを見渡し、一人の男が手の中に持っている何かを二人で覗き込んでいる。

 

一人がバッグの中から細長い筒のようなモノを取り出す。

 

あまりの不審な動きに思わず立ち止まって彼らを凝視する。

 

最悪のケースを想像して顔が凍りつく。

 

次の瞬間、

 

緊張が解けた。

 

一人が取り出した細長いモノは厚手の敷物で二人はそれを広げてひざまずき、お祈りを始めたのだ。

 

そう。

 

敬虔なイスラム教徒がメッカの方角に向かって祈る準備をしていたというわけ。

 

目立たない場所、周りの人々に迷惑をかけない場所を探していただけだったのに不審者と思ってしまったことに猛烈に反省の念が押し寄せてくる。

 

数年前に香港の空港で初めて礼拝室を見つけた時の驚きをふと思い出した。

 

観光立国を目指している我が国日本。

 

世界の四分の一とも言われるイスラム教徒を取り込むことは重要戦略の一つと言ってよい。

 

その彼らが観光しやすいと感じる環境作りが大事なことは間違いないけれど、それが礼拝室を作る、ハラルフード(イスラム教の律法にのっとった食べ物)のレストランを増やす等のハード面だけではいけないのではないか。


おもてなしの心はもちろんのこと、我々が全く知らない文化や価値観を知り、学ぶこと、そしてそれらを善悪、甲乙つけることなしにそのまま受容する気持ちが大切と言えるのではないだろうか。


せっかく遠いところからわざわざ来てくれたお客様を不審者扱いしてしまったことを一人反省した。