「雁字搦め」は「がんじがらめ」と読む。
年に1回の健康診断後に寄ったタニタ食堂の各テーブルにはタイマーとはかりが置いてあった。
楽しむべき食事に何キロカロリーまでやら一口何噛みやら何分以上かけて食べるやらの制約がかけられることに強烈な違和感を感じた。健康診断の結果が深刻で食事制限がかかったら話は別かもしれないけれど、自分でも驚くほどの拒否感だった。
次の瞬間、不思議な感覚が追いついてきた。
それも面白いかも、と。
一回の食事のカロリー制限を守る、お茶碗につぐご飯の量が決める、咀嚼回数20回以上、20分以上かけて食事する・・・
制約を背負いつつ目標達成を狙う。
それも悪くないかも、と。
難易度が上がることで面白さ、楽しさも同様に上がる。
何の制限もない自由よりも雁字搦めの自由の方がより価値が高く、
真の自由に近いのかもしれない。
いや、
雁字搦めの中にこそ真の自由があるのではないか、
と。