120円の旅行


青空の下、知り合いの植木屋さんと道で遭遇した。


いつもと違ってよそ行きの服装をしているので「あれ、今日はお休みですか?」と尋ねると、「はい、今日は休みにしました」との答え。


「いいですね。で、お出掛けですね?」と尋ねると、「はい、ちょっと旅行に」。


特に荷物を持っていなかったので少し驚きながら「どちらへ行かれるんですか?」と尋ねると「旅行と言っても、あれです。120円の旅行です」


「ふむ?」


「あ、ご存知ないですか?」 


「はい」


「◯◯(JRの東隣駅)まで切符を買って、尼崎から三田の方に反対方向でぐるっと遠回りをして帰ってくるだけなんです」


それでも納得のいかない表情の私を見て、


「高校生を見るんです。男の子も女の子も。最近の子たちはおしゃれですし、見ていて元気になれるんですよ」


還暦を越えて数年経っても元気で面白く魅力溢れる植木屋さん。その元気さと活動的な姿の秘訣が好奇心であり、人間観察なのだと改めて感心した。


植木屋さんの満面の笑顔に幸せのおすそ分けしてもらった気分。


もしかすると植木屋さんは仮の姿をで本当はどこか大きな会社の会長さんなのかもしれない・・・