身体という衣服

 

 

「・・・賑やかで助かってますわ。この頃はな、近しい人がどんどんいてへんようになってしもて。ま、もう自分の歳考えたら当たり前のことだすけどな。」
 
 
新次郎さんが言う。
 
 
すると、会話を交わしていた成澤先生がためらいがちに自分の考え、信念を語り始める。
 
 
あのぉ、慰めになるかどうかわかりませんけど、私にとって、生と死というものは、あまり違いはないのです。
 
 
実は、私も女子大学校設立の運動中に大事な人を亡くしました。しかし、生があるから死があり、死があるから生がある。
 
 
この二つは常に一つのリズムとして我々の日常を流れています。そして、この体はただの衣服であり、本当の身体はもっと奥にある。そして、それは永久に滅びません。

 

納得がいった
 
 
そんな表情を浮かべた新次郎さんの笑顔が忘れられない。
 
 
我々も身体という衣服をまとった永久不滅の魂を内に秘めている。
 
 
ならば、どう生きるのか。
 
 
天を仰いで暫し考えてみたい。