炙り出し

 

果汁を絞って、筆に浸し、半紙に言葉を書く。

 

ほとんど見えないけれど、火を軽くあてると書いた文字が浮き上がってくる。

 

炙り出しだ。

 

この数ヶ月マスコミや社会の矢面に立っているのは東京都知事舛添要一氏。海外出張でのファーストクラスやスウィートルームを使用、別荘への公用車利用から非難が始まり、血税の私的流用、政治資金の公私混同した遣い方で世間から糾弾されている。幾度となく開いた釈明会見も都民だけでなく国民全体の怒りの炎に油を注ぐ結果となり、今日辞任の意向を固めた。

 

そのニュースが流れたすぐ下に静岡県知事のニュースが踊る。(Yahoo!ニュース)

 

 

川勝知事、54泊規定額超え 公費海外出張の4分の3

 川勝平太知事は14日の定例記者会見で、2009年7月の就任以来、公費で海外出張した72泊のうち、4分の3に相当する54泊が静岡県条例で定める宿泊費の規定額を超えていたと明らかにした。そのうちの約8割の42泊がアジアや中南米地域で、静岡県側はこれらの地域が旅費規定の最も低額な地域ランクに該当すると説明した。(@S[アットエス] by 静岡新聞)

静岡知事 海外54泊で規定超え(2016年6月15日(水)掲載) - Yahoo!ニュース

 

 

川勝知事の行動の是非はまだわからない。

 

 

それでもこれまで見えなかった、見えにくかった問題や課題が炙り出されるようになったことは喜んでよいのではないか。

 

 

インターネットを代表とする情報通信の進化により、人々がより速く、広く繋がるようになった。情報の伝達スピードは驚異的に速くなり、一瞬で日本中どころか世界中に広がるようになった。 

 

その影響を受けて人々の意識も常識も加速度的に変わりつつある。

 

舛添氏や号泣議員のような公職についている人の不正がこれからもますます炙り出されるのは火を見るよりも明らかだ。

 

マクドナルドや東芝三菱自動車の例を挙げずとも不正を行った企業への制裁も熾烈を極める。

 

この動きはこれからますます加速していき、公人や芸能人だけでなく、一般人にも及んでいくことはほぼ間違いない。

 

ばれなければいい、そんな「見えない絵の具」で書いたと思っていた行動がいつの間にか誰かによって炙り出しにされるかもしれない。そんな世の中になりつつあるということ。

 

それが我々が望んでいる社会なのかどうかはわからないけれど、前進していくより他の道はない。