サイコパスの行方

 

巨大な豪華客船の一室にいる。

 

その部屋には私を含めた7人がポーカーをしていて、男同士のバカ話をしながら勝ったり負けたりを繰り返している。

 

誰かが放った言葉をきっかけに騒ぎが始まった。

 

私はCIAの潜入捜査員で残り6人のうち何人かが指名手配犯。囮捜査の大詰めを迎えていた。

 

もちろん夢の中の話である。

 

大捕物帳が始まるとドタバタの中あっと言う間に4人が逮捕され、2人組ずつに手錠をかけていく。

 

しかし、その時負傷した傷口を洗っている隙に2人組4人が逃げ出してしまう。

 

部屋を出て走り出そうとした瞬間、これは罠だと気づく。ほんの十数秒で逃げられるわけがなく、彼らはこの客室の何処かに隠れていて私が外へ探しに行くのを待っているのだと。

 

部屋をゆっくりと見渡す。

 

最初に目についたクロゼットに近づき、息を潜めながらドアを開ける。

 

誰もいない。

 

次のクロゼットにも人の気配はない。

 

次にバスルームのドアを開けると、そこにはなんと逮捕しなかった残りの2人がいて、しかもそのうちの一人がもう一人の喉元にナイフを突きつけ自分を逃さなければこいつの命はないぞと凄んでいる。

 

「そんなことに関わっている時間はない。バカな真似はやめてくれ」

 

そう言い捨て、ドアを閉めてはまた別のクローゼットを目指す。

  

通路の反対側のクローゼットから何やら怪しげな雰囲気を感じて近づいていく。

 

ドアを開けた瞬間、一人の男が倒れかかってきた。

 

その顔は真っ青で精気がなく、腕の先からは大量の血が流れ出ていた。

 

その瞬間、全てがわかる。

 

真のサイコパスはその男の手首を切り落とし、手錠を外して逃げたのだと。

 

そいつを追おうとして部屋のドアを開け、走り出したところで目が覚めた。

 

サイコパスの行方は誰にもわからない・・・