魔法がかかった言葉

 

村上春樹の新作を読んでいる。

 

内容についてはまだ読まれていない人のために書かないのでご安心あれ。

 

彼の作品を読んでいていつも思うのは、「文章に魔法がかかっている」ということ。

 

彼が魔法の杖を持っている訳ではなく(本当に持っているのかもしれないけれど)、

 

日頃から描写のトレーニングを積んでいることが想像できる。

 

小説の中で出てくる人物や建物、食べ物や音楽について表現する時の言葉の選択や文章の組み立て、比喩。その洗練された言葉たちは、天賦の才能と膨大な読書量を前提とした上で普段から目に入るモノ、光景、置き換え(喩え話)を絶え間無くしている努力の賜物に違いない。

 

ちょうど今開催されているワールドベースボールクラシックの超一流プレーヤーたちの鮮やかな守備のように。

 

彼らが普段からどれだけ大量のゴロを捌く練習をしてきたことか。

 

描写のトレーニング、比喩の訓練、語彙の多様化・・・

 

世界的にも稀有な作家の隠れた努力に想いを寄せながら魔法がかかった物語を堪能している。

  

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