一度の違い

 

角度をつけろ、エッジを利かすんだ、他人と違うことをやれ・・・



他人との競争に勝つためには他人と同じことをしていてはダメ、その他大勢から抜け出すためには人一倍の努力をしなければならない、目の着けどころを変えろ・・・



現代社会は競争社会である。



企業に勤めていれば、規模や職種、国内外問わず苛烈な競争にさらされている。



その競争が「グローバル化」という響きの良い、かつ避けようのない未来として捉えられれれば捉えられるほど、冒頭のような叱咤激励が貫禄を増し、正統さを纏い、重厚さをを持つようになる。



それがプレッシャーとなり、壁となり、逆に人々の足取りと心を重くする。



職場のある人がこんなことを言っていた。



「受け取り方をほんのちょっと変えるだけでその後進んでいく道が大きく変わるんですよね」



続けて語る。



「物事の受け取り方がほんのちょっと違うだけで、例えば、頼まれた仕事の効率性が多少悪くとも一所懸命に取り組もうとする人と非効率さだけを見て、しなければならないと感じる人はその時点ではそれほど変わらなくても、数ヶ月、数年経ったら全然違う場所にいることになりますよね」



深いと思った。



冒頭の「角度をつけろ」ではないけれど、何かをしようとする時に他人と同じことをするのが平行(180度)だとすると、違うことをしようとすると90度のアイデアを考えようと苦労する。そうではなくて、ほんの1度だけ変えてみようとすればいい。179度で始めていけば、その線をずうっと伸ばしていけば、平行とは随分離れることになる。



0から1を生み出すのは至難の業だけれど、1を2にするのはそれほど難しいことではない。



模倣であろうと、組合せであろうと、アレンジであろうと、何だって構わない。



ほんのちょっと、一度の角度さえつければ、それでいい。



それを続けていくことでいつかは大きな差が開くのだから。