有馬温泉の復興に目を見張った。
噂には聞いてはいたものの実際にその場に足を運び、自分の目で見て、耳を澄ませ、空気を吸ってみると、かつて寂れていた温泉街は、確かにエネルギーに満ち溢れていた。
活気というエネルギーの正体はまた別の機会に譲るとして、今回感じた有馬温泉の復興のKFS(Key Factor for Success)は「路地裏の価値」を再発見し、それを活かせたからではないか。
都市の再計画が至る所で行われるようになって、昔からあった路地裏が驚く程のスピードで失われている。
路地裏は表通りとは異なり、狭く、汚く、危ないもの。
人間には表があれば裏もあって、綺麗事だけでは済まないことも多い。
街も同じで、いくら整備が進み、綺麗になったとしてもそれだけだと魅力に欠ける。裏の顔、裏の面があるからこそ深さが増し、ミステリアスさが漂う。
路地裏はそんな役割を担っているのではないか。
敢えて、路地裏に焦点を当て、人間の裏側、奥底にあるものを引き上げ、或いは、深いところへ人々を誘う。
人間の奥深さ、汚さ、面白さ、魅力を知り抜き、信じ切った人間の仕業であることは間違いない。