裸になる

 

裸になればいい。
 
 
隠すものは何もないのだから。
 
 
ふとそんな風に感じた。
 
 
何かを長く続けることで身につく良いことも蓄積されていくうちに古くなったり、変形、劣化することがある。
 
 
良いものが積み重ねられて誇りになれば良いけれど、いつの間にか自己中心的なプライドに変わり、エゴになる。(こともある)
 
 
やがてそのエゴはびっしりと船底に張り付いた貝殻のようになる。(船底につく貝殻
 
 
厚く着込んだコートのようになる。
 
 
本当の自分の姿がわからなくなるまで厚くコートを着込んでしまえばその姿の方が周りから見える自分になる。
 
 
そうなるともう裸になることはできない。
 
 
厚く着込んだコートを脱ぐことはできなくなる。
 
 
厚いコートを何重にも着込んだ姿が本当の自分だと、自分ですら思い込んでしまう。
 
 
かすかな違和感とともに。
 
 
それでも本当の自分に戻りたいという思いがあるのならば、
 
 
裸になればいい。
 
 
隠してきたものも失うものもあるかも知れないけれど、
 
 
身の丈に戻るだけ。
 
 
それが裸になるということ。
 
 
一番自由に動ける自然の姿に戻るだけ。