第0次世界大戦


第0次世界大戦とは、



日露戦争のこと



と近年の軍事史や外交面の観点から指摘されるようになってきているという。



司馬遼太郎の「坂の上の雲」では日露戦争は極東に進出してくるロシアに対して日本が祖国を守るために立ち上がった戦争として描かれていた。その後、新たな資料の発見もあり、ロシアと日本だけによる諍いの結果としての戦争ではなく、世界の覇権をめぐる欧米列強の様々な思惑が交錯し、それが戦争の後押しをしていたことが明らかになってきたのだ。



19世紀帝国主義は弱肉強食の時代で欧米列強の植民地分割が世界中で進んだ。



覇権国家イギリスは世界中に植民地を持ち、ドイツはヨーロッパの新興国として力をつけ始め、アメリカは帝国主義の芽を大きくしつつあった。



ロシアは東征を図り、ウラジオストック(ロシア語で「東方を支配せよ」という意味)を建設し、旧満州地域を抑え、その力を確実に極東で伸ばしていった。



日本はその脅威に敏感に反応し、大き過ぎると言ってもよい程の危機感を持って国防のためにあらゆる手段を講じ始めた。



その当時の欧米列強のスタンスはこうだ。



イギリスは領土拡張を続けるロシアを抑える絶好の機会だと考えていた。(機密文書より:「ロシアが朝鮮をめぐる争いに巻き込まれ、弱体化すればイギリスにとってこれ以上にない展開だ」)なぜなら、中国で大きな権益を得ていたイギリスの力がロシアの極東進出で失われることを恐れていたからだ。


ドイツは「黄禍論」を唱え日本との戦争にロシアを炊きつけていた。(皇帝からの親書より:「ロシア人の中に眠る素晴らしい素質を呼び覚ませて日本に見せつけてやらなければならない」)なぜなら世界進出を目論んでいるドイツはライバル国であるフランスとロシアが露仏同盟を結んでいることが邪魔で、ロシアが極東に力を注ぐことが国益だったからだ。


アメリカは自らの戦いを日本に託した。(機密文書より:「我々は日本が勝利を重ねていることを喜んでいる。なぜなら彼らは「我々のゲーム」を戦ってくれているいるのだ」)なぜなら、極東で権益を得るにあたって、ロシアが邪魔になることはわかっており、その敵国との戦争を日本が代わりにしてくれることは願ってもないことだったのだ。



こうした各国の諸事情と電報による情報革命が起こりつつあった19世紀末期を背景に列強のかけひきは加速していった。



そして、列強の思惑とかけひきと当事者である二国の最終的な決断で決戦の火ぶたが切って落とされた。



という内容のNHKスペシャルを見た。



3つ目の世界大戦は何としてでも避けなければならないと誰もが思っているが、実は既に66年前に終結していたのだ。



世界大戦3部作ここに完結せり。