瞬間時空移動スイッチとは、
一瞬で時間を遡り、空間を越えて移動することができるスイッチのこと。
ドラえもんの道具でも未来の発明品でもトンデモ話でもない。
SF映画の小道具でもライトノベルのオーパーツでもイルミナティの秘密兵器でもない。
瞬間時空移動スイッチは、どこにでも存在する。
今日もふとしたきっかけでそのスイッチが入り、一瞬にして十数年前、11000km離れた空間に移動した。
そのふとしたきっかけとは・・・
ある音楽を聴いたこと。
その曲を耳にした瞬間、記憶が過去に飛び去った。
心が10000キロを越える距離を移動し、当時の情景が鮮烈に目の前に現れた。
次の瞬間、再び異なる時代にタイムスリップし、懐かしい顔ぶれに囲まれて、喜びと心の痛みが一瞬にして蘇った。
音楽の力はなんとパワフルなものなのだろう。
他にも瞬間時空移動スイッチは存在しないのだろうか、と考えてみる。
昔の写真を見た時もそうだ。
匂いも、触感も敏感なスイッチ。久しぶりに故郷に帰った時の感じ方も似ているし、旧友に再会した時も同じような感覚に捕われる。
人は自分でも気づかぬうちに五感全部を使って一瞬一瞬を切り取り、記憶というサーバーに永久保存していく。
五感こそが過去の記憶を呼び覚まし、一瞬にして心を旅させる「瞬間時空移動スイッチ」なのだ。
これから3年、5年、10年先、30年後の自分が今この瞬間にありのままの姿で戻れるよう常に五感を研ぎ澄ませておきたい。