シャボン玉


シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた

シャボン玉消えた
飛ばずに消えた
産まれてすぐに
こわれて消えた

風、風、吹くな
シャボン玉飛ばそ
(著作権失効済)



誰もが知っている童謡「シャボン玉」だ。



初めての子育ての時、育児書で知ったことが今でも心に残っている。



野口雨情によっておよそ90年前に書かれた歌詞は彼の生まれたばかりの子供が亡くなったことをモチーフに作られたのだという。



改めて調べてみると、異なる説もあり、一概に本当のこととは断定できないらしい。しかし、雨情の愛する長女が生後間もなく亡くなったことは事実のようだ。



であれば、光に照らされ、無限の色をたたえながら空へ向かって飛んで行こうとするシャボン玉と我が子と重ね合わさないわけがないのではないか。



我々人間に与えられた命は有限だ。



誰もがいつかは死ぬ運命にある。



それが多少早いか遅いかの違いなだけ。



その数十年という時間はシャボン玉にとって生まれてすぐに消えるのと屋根まで飛んで壊れるのと同じようなものなのではないのだろうか。



だとすると、



我々人間とシャボン玉の本質的な違いは何もないということになる。



キラキラ光り輝きながら、ふわふわ風に乗って、天まで舞い上がりたい。