国富の測り方

昨日のブログで「アイデアのつくり方」という本を紹介した。http://d.hatena.ne.jp/norio373/20110806



竹内 均氏の解説を含めても100ページほどの薄い本。1時間もあれば十分読めるし、書かれている内容も驚くようなことは何もない。にもかかわらず学んだことは一生モノになる予感。



しかし、おっ!となったのはタイトルの「アイデアのつくり方」ではなく、1961年に書かれたという「日本の読者のみなさんに」という前書きの一節だった。(1988年に発行された第1版なので最新版に収められているかは定かではないが)



全文を引用させてもらおう。



日本の読者のみなさんに ジェームス・ウェブ・ヤング


私はかつて一度、美しい貴国を訪れたことがあり、貴国の産業の驚嘆すべき進展にその後も絶えず関心をいただき続けてきましたので、この小著が日本語で出版されることは私にはまことによろこばしいことであります。
一国の国富というものは、その国のもつ天然資源によりも、国民のエネルギーとアイデアにより多く依存するものだということを、日本は世界に向かって証明しました。そして、広告はこのエネルギーとアイデアの発展にとっての大きな刺激剤であります。日本には現在、世界のビッグ・テンに入る広告代理店があるということ、別の言葉でいえば、印刷広告ならびに放送広告のあらゆる技術が最高度にまで発展しつつある、というのも決して偶然のできごとではありません。
このように成長的な国家において、私のこの小著が一つの文献となることに私は心からの満足を覚えるものです(1961年7月)



戦後の高度成長期を謳歌していた当時の日本にはまさに国民のエネルギーとアイデアが満ち溢れていたに違いない。



「国富の測り方」の定義として、これほど自信と虚無感と可能性を同時に感じさせられるものにお目にかかったことはない。



大震災と原発問題で再び国家が、国民が試されようとしている今こそ、もう一度、日本を元気にするアイデアをみんなでつくっていかなければならない。