余韻に浸る
なんて美しい日本語であろう。
田坂広志氏の「目に見えない資本主義」を読み終わり、余韻に浸っているところだ。
- 作者: 田坂広志(たさかひろし)
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/07/24
- メディア: 単行本
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サブプライムローン問題やソブリンリスクを持ち出すまでもなく、20世紀型の資本主義、それに基づく社会が多くの問題を抱え、限界に達しようとしていることは多くの人が気づいている。
その次の形は???
そんな疑問を持ち続けて、巡り合った1冊がこれ。
21世紀の経済や社会はヘーゲルの弁証法で予見できるという田坂氏の分析は鋭く、深い。
1)事物の螺旋的発展の法則
2)対立物の相互浸透の法則
資本主義の新しい形とは上記の法則を元に考えると、「目に見えない価値」を重視する社会がベースとなり、日本がこれまでの歴史の中で培ってきた伝統や考え方が新しいテクノロジーや西洋文化の合理的、効率的な部分を取り入れた形で復活してくるのだという。
限界に達しようとしてる20世紀型資本主義の「経済原理」に5つのパラダイム転換が起ころうとしている。
1.「操作主義経済」から「複雑系経済」へのシフト
2.「知識経済」から「共感経済」へのシフト
3.「貨幣経済」から「自発経済」へのシフト
4.「享受型経済」から「参加型経済」へのシフト
5.「無限成長経済」から「地球環境経済」へのシフト
それぞれのパラダイムの定義と詳しい説明は著作に委ねたい。
本の結論は「日本という国が世界に貢献する時代」が来ると予見され、日本や日本人がこれまでの歴史の中で育んできた価値観や手法が再び注目される時代がくるとしている。
それはただ単なるナショナリズムの高揚ではなく、我々日本人に誇りと責任感を持って事にあたるべきだという使命感と希望をふつふつと湧かせてくれるものであった。
3.11を単なる悲劇として終わらせるのではなく、世界を救うきっかけにすべくがんばろうという気持ちにさせてくれた貴重な1冊となった。
その余韻に浸りながら、今日を力強く生きようではないか。