ノルウェイの森

ノルウェイの森」を観た。



フランス人監督による映画化のニュースを耳にして以来、喪失と再生の物語がどのように描かれるのかずっと興味津々だった。



映画館に観に行くつもりが結局DVDを待つことになってしまったが、ようやくこの日を迎えられた。



感想は、と言うと・・・原作をそれなりにうまく映画化したのではないか、と言ったところ、で終わる。



村上春樹の同名原作はこれまでに5、6回は読んだだろうか。



それだけ思い入れのある作品だっただけに期待値が高く、登場人物についてどうしても気になる点が幾つかあった。書かざるを得ない。



●直子が兎にも角にも「怖かった」・・・(菊池凛子は非のつけどころがないほど「うまい」のだが、いかんせん「美形」とは言い難く、ホラー映画のような怖さを醸し出していた。観ていて主人公と同じように喪失感を感じ切れない大きな原因と言わざるを得ない)
●緑にはもっと「はじけて」いて欲しかった。全体的に重苦しい雰囲気の小説中、
緑と突撃隊だけはその空気を破る貴重な存在だっただけに映画では全く同じ雰囲気を纏ってしまっていたのがなんとも残念。
●永沢の存在感がなぜか薄かった。人生観や生き方についてもっと熱く語って欲しかった。突撃隊にいたってはほとんど出番さえなく去って行ったのが勿体なかった(限られた時間の中で寄り道できない映画制作の宿命で切り捨てられたのは十二分に理解しているし、正解だったとは思うが)
●ハツミさんは「完璧」! 女優も演技もパーフェクト!
●レイコさんはきれい過ぎかも。もう少しふっくらしていて、ゆったりした大人の印象を持っていたのは私だけ?
●主人公のワタナベは「及第点」と言ったところか。台詞回しは決して悪くないのだけれど、時に発する言葉が場違いに感じられた。恐らく演技力とは関係なく俳優がカッコ良過ぎるからだろう。最後の海辺の大きな岩の上で哭くシーンは見事だった。



映画全体としては時代考証もやり過ぎるほどしっかりやれていたし、音楽のある部分とない部分を効果的に使えていたし、何と言っても映像が美しかった。重苦しく、舐める様にゆったり過ぎていく時間をうまく表現することで、小説のもつ世界観や雰囲気をうまく作れていたようにも思う。



惜しむべくは、



やはり、



神戸出身のワタナベと直子が二人きりになっても妙な標準語を話していたこと。



で、あろうか。



同郷の後輩より