出口戦略

出口戦略が重要だ。



と言われるようになって久しい。



元々は軍事用語だったのが、最近では経済用語としても頻繁に使われるようになり、金融界や一般企業でも普通に耳にするようになった。



軍事的に撤退を余儀なくされた時にどれだけ被害を最小限に食い止められるかを戦略的に考えるというものだが、金融界や企業で使われる時は若干ニュアンスを違えて使うこともある。マーケットにおける競争の結果で止むなく退場を余儀なくされる時の戦略ではなく、プロダクトサイクルや時代の急激な移り変わりを踏まえた上で、予め撤退する手順や事業の売却や清算方法を決めてから参入するという使い方である。



しかし、ここではそんな企業の出口戦略について考えるつもりはない。



3日連続でAppleについての文章を綴る引き鉄となった「ヴィジョナリストの死」をきっかけに「自分の出口戦略」も考える必要があるのではないか、個人にも同じ考え方が適用されてもいいのではないかと。



人間の出口、それは単純に「死」ということ。



「自分の出口戦略」を考えるためには、当たり前だけれど「自分の死」を真剣に考えることから始めなければならない。



そう言えば、今まで「自分の死」を真剣に考えたことはなかった。



その日が50年後なのか、30年後なのか、はたまた10年先なのか、いや、明日に迫っているかもしれないということを我々は知ることができない。



だからと言って、死が永遠に訪れないと考えている人は誰もいない。



にもかかわらず、死を考える機会がないというのも考えてみればおかしな話。



一度、真剣に自分の死を考えてみる。