操縦桿

操縦桿から手が離れる感覚に囚われることがある。



手が痺れているからなのか、心が緩んでいるからなのか。



機体はコントロールを失い、失速していく。



やがて、急降下を始め、真っ逆さまに落ちていく。



機体が軋み始め、重力に耐えかねてあちらこちらで悲鳴が上げる。



事の重大さに気づく頃には、



操縦桿は重くなっている。



とてつもなく。



しかし、



誰かが操縦桿に手をかけ、全力をかけて引き上げ、



機体を立て直し、



再び高い空を目指さなければ、



乗組員全員が墜落死するしかない。



国も、自治体も、個人も、



全く同じ。



操縦桿の重さを実感する。