月一雑誌 −暮らしの手帖−

今月の一冊は月初から決まっていた。



「暮らしの手帖」である。



理由はこれ。
「今日もていねいに。」 http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120402



今月に入ってから何度か近くのコンビニや書店で探してみたけれど見つからず、ようやくジュンク堂で出合うことができた。



ページを開いてまず確認したのが「編集人 松浦弥太郎」の名前。



発見して、なぜかホッとする。



ページを閉じてもう一度雑誌全体の感覚をおもむろに愉しむ。



表紙に戻り、今号の主な内容を確かめる。http://www.kurashi-no-techo.co.jp/honshi/c4_57.html



まいにち安心お弁当術
はじめてのぬか床づくり
チーズケーキ入門
すてきなこぎん刺し
省エネ生活100のコツ
江戸のおもたせ



完全に主婦向けの雑誌である。



表紙をめくるとこんな文章が目に飛び込んできた。



これはあなたの手帖です
いろいろのことがここには書きつけてある
この中のどれか一つ二つは
すぐ今日あなたの暮らしに役立ち
せめてどれかもう一つ二つは
すぐには役に立たないように見えても
やがてこころの底ふかく沈んで
いつかあなたの暮らし方を変えてしまう
そんなふうな
これはあなたの暮らしの手帖です



この素敵な文章が今号だけのものなのか、或いは毎号に掲載されているのかは知らない。



これだけでも雑誌を買ったかいがあったというもの。



左側のページ一面に広がる一之瀬ちひろさんの写真(ほうきが立てかけられている椅子とテーブル、その部屋に光が差し込んでいる)も雑誌全体のコンセプトを映像化したような素敵な一枚。



丁寧にページをめくっていく。



最初にじっくり読んだのが、「はじめてのぬか床作り」。



「よいぬか床があれば、野菜を漬けるだけでおいしい料理ができあがります。意外なほど簡単、続けるほどおもしろい、ぬか床づくりを紹介します。きっとたからものになるでしょう。」



飾り気のない文章ゆえにまっすぐに心の中に入ってくる。



ぬか床づくりにもう一度チャレンジしたくなってきた。



次は、「省エネ生活100のコツ」。



東日本大震災は発生後1年以上経っても我々の生活に影響を与えている。節電、省エネ生活を余儀なくされるけれど、その生活を知恵と工夫で愉しもうとする空気が感じられる。



「エネルギーの節約で大切なこと。それは時間、温度、明るさ、そして効率を気にかけること。無理やがまんではなく、ムダをなくす。長く続ける省エネのコツを紹介します。」



電気についてのコツが70個。ガスについてのコツが13個。水道についての節約のコツが17個。



それぞれ1つずつ選んでみる。



電気1 
電気使用量の検針票が届いたら、昨年の同月の使用量も確認するようにしましょう。成果が数字で実感できれば、省エネが楽しくなります。省エネは、リバウンドのないダイエットのようなもの。よほどのことがないかぎり、一度減らしたものが大きく戻ることはありません。



ガス79
シャワーを浴びる時間を短くするのは、節水だけではなく、ガスの節約にもなります。シャワーを10分浴びると、100Wの電球を約17時間つけているのと同じくらいのエネルギーがかかります。



水道97
洗濯のすすぎが一回ですみ、節水になる洗剤があります。このような新しい洗剤を使うだけでも水量は大きく変わります。



一人の省エネは量も金額もたいしたものにはならないかもしれない。それでも省エネが奨励されるべくは一人ひとりの小さな努力も集まることで大きな大きな力になるから。そのことを常に覚えておきたい。



次に目に留まったのは「日本の国債」。



そう。このブログでも何度も扱っている問題の一つである。こんなところでも話題にされていて少し嬉しくなった。
「デフォルト回避のために」 http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120328



そして、最後に「編集者の手帖」。



東日本大震災から一年が経った今でも苦難は消えることなく、被災された人たちのことを想う文章がしたためられている。原子力エネルギーが引き起こした悲劇と恐怖は私たちが間違った豊かさ、間違った暮らしをおくってきたことを無言で教えてくれた。私たちができることは、この現状から逃げることなく、原子力エネルギーを必要としない生活をおくるためにある程度の便利さ、快適さ、豊かさを失うことを甘受すること。その強さを持つこと。そのことを静かにかつ屹然と語っている。



そして、こう締めくくられている。



「・・・もう、そういう進歩や新しさはいらないと声にすることです。そういうものが無くても、楽しく、おもしろく、美しい暮らしは作れるのだと、私たちは見せなくていけないのです。」



今日もていねいに。



月一雑誌 バックナンバー


月一雑誌 −CARTA−     http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120331
月一雑誌 −AUTOCAR JAPAN− http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120229
月一雑誌 −pen−      http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120131