火中の栗

火中の栗を拾い続けてきた。



おかげで随分やけどもしてきた。



誰かのために拾った栗も多く、拾ってみると焼けて価値のないものだったことも少なくない。



それでも、後悔はしていない。



一切。



そして、



これからも大事なものを得るために火の中に手を突っ込まなければならないことも出てくるであろう。



その時に、立ち向かう勇気が欲しい。



一人無言で立ち上がり、火の中にサッと手を突っ込む。



体中から汗を噴き出しつつ、手のひらに乗った真っ赤な栗を笑顔で差し出すのだ。



それを見た人たちの顔が心配から安堵へそして驚喜に変わる瞬間を想像しながら。



ただ、



次回からは、



コールマンのソリッドレザーグリルグローブをはめてからがいいかもしれない。

それが経験というもの、ではないだろうか。