ミネルバの梟

ミネルバの梟(ふくろう)



をご存知だろうか。



ギリシア・ローマ神話の話の一つで、哲学者ヘーゲルが「ミネルバの梟は黄昏にしか飛翔しない」という文章を残したことでも有名。彼はそこでミネルバの梟を哲学者に喩え、知の象徴とした。



ギリシア アテネの近くに「ミネルバの森」という名の森があり、そこに住んでいる梟は夜暗くなると飛び立ち、夜道を照らしたという。知の象徴である梟は暗くなってからしか活躍しない。



暗くなってから活躍するというのは、知の蓄積には時間がかかり、人は晩年になってからようやく真の力を発揮するということ、知というものは物事を途中で判断したり、早急に結論に飛びついては得られないという戒めを意味している。



一昨日、昨日のブログで知について考えた。
無知の力 http://d.hatena.ne.jp/norio373/20121008
無知の知 http://d.hatena.ne.jp/norio373/20121009



人類は長い歴史の中で多くの知を蓄積してきた。



我々はその知の恩恵を全身で受けながらもその価値に思いを巡らせることはない。



日々生きることで精一杯で「無知の知」を考えることもなく、「無知の力」を意識することもない。



それでいて、知について考える機会が舞い降りるとあたかも改心し、知の生活を始めようと決意したふりをする。



いや、その時には本心でそう信じている。



ただ、昼間のうちには飛び立つことができず、暗くなるのを待っている梟だからだと信じたい。