彫刻を彫るように

名の知れた彫刻家や石工職人、木工職人がこのようなことを言うことを時々耳にする。



「何を彫るか、どのように彫るかではなく、その石(木)の中に本来の形が存在し、その形を彫り出しているだけなのです。」



仕事上で企画書や提案書を作っていると時々似たような感覚に捕らわれることがある。



コンピュータ上の白い用紙に向かって瞑想するわけではないし、書き始める時から「本来の形」が見えるわけではないけれど、書き始めてしばらく経ち、ある程度の形になってくると時に何かに導かれるように何をどうすればよいのかが自然にわかり、作業が捗ることがある。



詰めの段階になると感覚は更に研ぎ澄まされ、細部に注意が張り巡らされ、細かなミスや改善点も見つかりやすくなる。その結果、完成度を上げることができる。



かつての上司が言っていたことを思い出す。



「こういう資料は間違いやおかしな点があると見た瞬間浮かび上がったように見えるんだよね。」



一つの企画書、一つの提案書と言えども、「作品」を作る気持ちで取り組まなければならない。



名は知れずともビジネスの達人は確実に存在するのだから。