タフネゴシエーターへの道

昨日のブログで「タフネゴシエーター」という言葉を使った。
http://d.hatena.ne.jp/norio373/20130511



タフなネゴシエーターとは、簡単には譲歩しない交渉人のこと。



そう理解している人が多いし、ある側面からは正しい。



しかし、厳密に言えば、分野や程度を限って譲歩することはある。むしろ戦術の一環として巧く使う。駆け引きは交渉の代名詞と言ってもいいほどだ。



駆け引きをするためにはトレードオフの本質を理解していなければならない。



何かを得るために何かを差し出す。



最も欲しいものを代償を払って手に入れる。極力相手に悟られずに。



和をもって尊しとする日本人が最も苦手とすることではないか。



それでも世界を相手に戦うために学ばなければならないことの一つに違いない。




こういう人がもっと出てくることを望む。



日本経済新聞2013-05-13より



旬の人時の人 鶴岡公二氏(60) TPP交渉を率いる仕事師

 霞が関でいま最もつかまえにくい官僚の一人だろう。安倍晋三首相のシェルパ(個人代表)を務める6月の主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)の準備など、経済担当の外務審議官として1カ月のおよそ半分は海外を飛び回る。そこに、7月にも始まる環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を統括する首席交渉官の肩書が加わった。
 条約・国際法に絡む判例に詳しく、「交渉相手が出してきた英文の条約案を読んですぐに問題点を指摘できる」と同僚は語る。「立て板に水」の説明能力も認められて民主党政権でも重用された仕事師だ。ある国際会議では北朝鮮への非難を弱めようとした議長国の責任者の部屋に乗り込んでとうとうと説得し、強い非難声明につなげた。「ミスター鶴岡の説明は説得力がある」。キャンベル米前国務次官補はよくこう漏らしていたという。
 通商交渉の主舞台が世界貿易機関(WTO)から2国間や広域の経済連携に移るなかで、先に参加した11カ国と国益をかけたタフな戦い。日本側は外務、経済産業、農林水産、厚生労働など各省から集めた約100人のチームで臨む。「一丸となることが不可欠」と力を込める。
 原則を重んじる性格はときに「手厳しい」と周囲から評される。初陣に向けて、まずは国内の混成部隊を「オールジャパン」で束ねられるかが試される。
(政治部 桃井裕理)

つるおか・こうじ
1952年、東京都生まれ。外務省では総合外交政策局長から12年外務審議官。最近では東南アジア諸国連合(ASEAN)に働きかけて中国の海洋進出に対処する枠組みづくりに取り組んだ。