街全体がテーマパークのような場所だとわかったのは最後だった。
知らない街を歩いていた。
ふと気がつくと巨大なショッピングモールのカフェにいて、仲良さげにスタッフの人達と話していた。
どうやらこのお店で働くことになったようだ。
お店のオーナーは30代後半から40代前半と思われる感じのいい男性。盛んに出来たてのケーキを勧めてくれる。
オーナーと話し終えてから自分が失敗したことに気がついた。
そのお店で働けるように力を尽くしてくれた人に第一報とお礼をせずに直接オーナーに会ってしまったことを反省する自分がいた。(知る人ぞ知るそのお店で働くためには隠れた試練があり、私に課せられた試練は大人のベンガルトラと同じ部屋に住むことだった。<ライフオブパイみたいだけど、ここでは仲良しになれた> それをなんとか乗り越えられたのもその人のおかげだった。)
そんなことを考えながらふらりと入ったお店で事件は起こった。
見も知らぬ人間関係の問題から発展した発砲事件。
その場に居合わせた自分は命からがら逃げ出すことに。
追手はいつの間にか背中から黒く長い足のような翼のようなものが生え(ブラックスワンのような、ザフライのような)、異様な姿となって追いかけてくる。
銃だけでなく、手榴弾のようなものを持っていて、時折叫び声をあげながら投げてくる。
とあるお店に身を隠そうと入るとそこには奥へ奥へと通ずる通路があり、幾つもの分岐点を経て更に進んでいくと、今度は斜め上方向に登っていく脱出口のようなものを見つけた。
必死になって登っていく。
途中何度も滑り落ちそうになりながらも落ちたら追手にやられてしまうということを知っているだけに絶対に登り切るんだと強い気持ちを持って。
登り切ろうとした瞬間、最後の関門があることに気づく。
その脱出口の最後の部分には開いたり閉まったりすらシャッターのような扉があり、その先には2種類の刃が仕組まれていた。
一つは小さいけれど鋭い刃がたくさんついている。刃と刃の合間は狭く閉まる速度も速い。下手をすると大怪我をしそう。二つ目の刃は大きいけれど間隔は広く、閉まる速度は遅い。しかし、挟まれると致命傷になることが一目でわかる。
どちらかを選ばなければ出られないようになっているはずだが、なぜかその脇に穴が開いていて、そこから脱出できるようになっていた。
誰かが開けていたのだろう。
脱出口から広がる世界は驚くものだった。
ゴミゴミしつつも巨大な街が広がっている。中国なのかイタリアなのか、或いは未来の世界なのか・・・
結局、脱出口の横の抜け穴から下に降り、路地を通り大通りに出た。
なぜか自分までもが何かのキャラクターかコスチューム・・・のような着ぐるみを着ている。不思議に恥ずかしいとは思わない。
その理由もすぐにわかった。
街行く人達の多くがなんらかの派手な衣装を身につけているからだ。
そう思っていると、隣に女の子が駆け寄って来て、こう言った。
「あなたも○○のアトラクションに行ってきたんだね。」
そうか、全てはゲームであり、アトラクションなのだ。
ここは街全体がテーマパークなんだ・・・
そんな風に思っているうちに、
目が覚めた。
真夏の夜の夢というわけ。
随分長く寝たはずなのに、体はどっと疲れていた。
もしかすると体験は全て実際に起こったことなのかもしれない・・・