街を歩いていると、向こうから歩いてきた美女が笑顔で声をかけてきた。
ん?
戸惑いも疑問も一瞬で氷解。
その美しい人は仕事の知り合いで、たまたま道ですれ違いざま挨拶をしてくれただけだった。
それでも一瞬の戸惑いと疑問の間に嬉しさがあったことは認めなければならない。
その嬉しさを分析してみる。
その人が美しい女性だったからというのは否定しないけれど、そこには別の要素が入り混じっていることも間違いなさそう。
その一瞬に湧き上がった感情を遠心分離器にかけてみる。
すると、そこには
「笑顔の効用」
があったことに気づく。
その人はただ笑顔で挨拶をしただけで、
私がいい思いをしたとは夢にも思っていないはず。
もう一度、「笑顔の効用」を味わってみる。
今度は、
自分が誰かに「笑顔の効用」を感じてもらう番だと気づいた。