優しい光が降り注いでいる。
もうすぐ午前9時になろうとする朝の陽射しは眩しく優しい。
3月に入ってまだ3日しか経っていないのに陽の光は確実に冬の陽射しから春のそれに変わっている。
でも、4月初旬の確信のある、夏に向かって進んでいくという決意に満ちた力強さはない。
これでいいの? いいのかな? そんな気弱で脆さが見え隠れする優しい光だ。
冬の間、冬眠していた生き物たちや土の下で春を待っている種たちが呼び起こされそうな。
明日には消えてしまうかもしれない儚さをはらみながらも温もりを与えてくれる優しい光。
身を晒すと全身が包み込まれる。
自分の中に眠っている何かが目を醒ます気配がしてきた。