外堀から埋められる正しさ



正しく生きることを社会は求めている。



その正しさは、少なくともこの国においては、これはダメ、あれはダメ、他人に迷惑をかけてはいけない、法を犯してはいけない・・・



その全てがしてはいけないことと言ってもいいほど正しさは外堀から埋められている。



その中央に何があるかは語られない。



核心には誰も触れず、あたかもドーナツの穴や何も入っていない空箱のようなもの。



いわゆる中空構造であり、我々日本人の精神性の表れや特性なのかもしれない。



主語を省略し、述語を最後にする言語形態、物事を曖昧にすることや中庸に価値や美意識を見つける精神性、結論を先送りにすることで今と未来の境を抽象化させてしまう性向・・・



正しく生きるためにはどうすればよいのか。



あれはダメ、これはダメ・・・



かと言って、何をすれば良いのかを尋ねると誰も答えてくれない。



それならば正しく生きずとも好きなように生きればよいことになる。



答え合わせは自分ですることになる。