世の中に完璧な人はいない。
そんなのは常識。
それでも子供の頃は親や先生といった大人たちは何でも知っていて、いつも正しい完璧な人だと思っていた。
絶対的な存在だった。
成長し、いつの頃からか大人にも知らないことがあり、間違いもすることに少しずつ気づいていく。
その発見はショッキングな一回の出来事ではなく、一滴一滴滴り落ちて溜まっていく雨垂れのよう。いつしかバケツから溢れ出し気がつくのと似ている。
バケツから水が溢れ出しても最初は何が起こっているのかわからない。事態が呑み込めずただただあたふたしたり、戸惑ったりする。
ある人は、それが子供が大人が完璧な人ではないとわかる瞬間であり、戸惑いを表す比喩であると言う。
完璧な人間から動物の一種類に成り下がる瞬間。
人間であること、豚のような側面さえあること、それさえも受け入れ、そこから始めること、
それが大人になるということ、
それを言い過ぎまとは誰にも言えない。