待つ
何かを待つことは昔から苦手だった。
嫌いと言った方がより心情に合っているかもしれない。
何かを待っている間は時間の無駄だと思っていたから。心の無駄遣いだと思っていたから。
人気のレストランもテーマパークも愛しい人との再会も同じ。
待つことがそれほど苦にならなくなったのは、その間別にすることができたから。
しかし、
待つという行為を他のことで薄められることで失うものもあることに気づいた。
逆に、待つことに集中することで気持ちが増幅され、より濃密になり、「その瞬間」がより劇的なものになることを知った。
念願のレストランに並んでいる時はそのレストランがどうして念願のお店になったのか、何がお薦めでどんなこだわりをシェフが持っているのか、テーマパークのライドやイベントを待つ時はその時のエピソードや見どころを、愛しい人を待っている時はその人のことを、一緒にいる時のことを考えたり話し合ったらいい。
苦手意識はすぐには消えないけれど、
少なくとも
待つことが嫌いではなくなりそうだ。