NHK連続テレビ小説「あさが来た」が最終回を迎えた。
15分の後半、年老いたあさが形にこだわらない勉強会を開く。青空の下、ピクニックのような楽しい場所で女学生に語りかける。
皆さん、知っての通りうちは江戸の世の嘉永生まれのおばあちゃんだす。うちらの若い頃はなあ、電話はもちろん郵便もあらしまへん。馬車や汽車かてあらしまへん。誰かになんかを伝えたい思ても脚絆履いてひたすらいくつも山越えるしかあれへんかったりしたもんだす。<近頃じゃそんなことも想像できないでしょうね>へぇ。それがほんま便利になって。うちは昔の方がよかったやなんてちょっとも思てしまへんのやで。せやけどなあ、何でだす? 国が育ったら、もっともっとみんな幸せになれると思てましたのに、こない生きづらい世の中になってしもたんは、何でなんですやろなぁ。戦争は銃や大砲で人を傷つけて、新聞や世論は人を悪う言うたり、勝手な批評して人の心傷つけるばかり。みんなが幸せになるための武器は銃でも大砲でも悪口でもあらしまへん。(頭と胸を指差して)こことここだす。<こことここ?>そうだす。人の気持ちを慮る優秀な頭脳と柔らかい心。それさえあったらそれで十分なんだす。その分野で言うたら、女子はんは決して男はんに引けとらしまへん。いや、男はん以上にその力大いに使うことができます。まあ、うちの旦那さんはうちより柔らかい人やったけどな。若い皆さんはこれからどないな仕事に就いても家庭に入っても、その二つがあったら大いに人の役に立つことができます。日本どころか世界の役に立てることがこの先ぎょうさんありますのや。どうか、どうか、しょげてなんかいてんとよう学んで、頑張っておくんなはれな。
今の我々に語り掛けていたのではないか。
そんな気がした。
そして、物語はなんとも温かく美しい終わり方をする。
あ~ 来週から彼らに会えないなんて・・・
これが噂のあさロス???
「柔らかい心を持って新しい世界を楽しんだらええのや」
あさと新次郎さんの声が聞こえたような気がした。