ダークツーリズム
その言葉を聞いたことがあるだろうか。
いかにも暗く、物騒な印象を受けたかもしれないけれど、観光立国を標榜している我が国の、21世紀の観光の大きな潮流になりうるかもしれない。
戦争や災害のあった悲劇の地を巡る旅。多くの人が亡くなったり、悲惨な事件があった地を訪ねることで人間の過ちや悲しみを自分事として捉え直し、未来に活かすための観光。人類の悲しみを継承し、亡くなった方を共に悼む旅。
具体的な場所はと言えば・・・
チェルノブイリ原子力発電所(ロシア)
キリングフィールド(カンボジア)
グラウンドゼロ(アメリカ合衆国)など
国内では、
原爆ドーム(広島)
ひめゆりの塔(沖縄)
軍艦島(長崎)
長島愛生園(岡山)
そして、
福島第一原発をダークツーリズムのデスティネーションにしようという動きがあるという。
本来「旅」は非日常を求めるもの。
戦争や死、そして人間の過ちを身体と心の両方で体験できる負の遺産を巡る旅は本質的なもの。
臭い物には蓋をする、目を背ける傾向のある日本人にとっては苦しいけれど、必要なこと。
もう一度我々が通ってきた道を、目を大きく開け、耳をすませ、心を開いて、歩いていこう。
胸に手を当て、天を仰ぎ、赦しを請おう。
そこから本当のやり直しが始められるのだから。
自信を持って、誇りを纏って、歩むことができるのだから。
2016年月一企画