雪道のヒッチハイカー

 

山陰地方が寒波に見舞われている。

 

一晩で数十センチも雪が積もり、日常生活に支障をきたすほど。

 

今日鳥取に住んでいる人と電話で話す機会があった。

 

雪道を恐る恐る車で走っていて信号待ちをしていた時のこと。窓を叩く音がして反射的にウインドウを開けると金髪でサングラスのおばちゃんが話しかけてきた。

 

くら寿司に行くんだけど乗っけて行ってくれない?」

 

逡巡する間もなくおばちゃんは後部ドアを開けて乗り込んできた。

 

危ない人なのか、単なる気安いおばちゃんなのか、測りかねながらも運転を続けていたところに筆者から電話があったらしい。

 

「もし何かあれば証言してもらえるかも・・・」

 

なんて考えながら電話応対をしてくれたみたいで通話を切るべきかどうか一瞬迷ったという。

 

「どうせ行く途中なんでしょ」

 

おばちゃんが言う。

 

「って、私がどこに行くか知らないでしょ?」

 

と思ったけど、口には出さなかったとのこと。

 

道理で少し様子が変だったわけだ。てっきり雪道の運転で気を取られていたからだと思っていた。

 

後から電話をかけ直してくれて一連の顛末を話してくれた。

 

「まあ、私も車を出すのに近所の人に助けてもらったからいいかなって思ったんです」

 

「それにしてもドアはロックしてなかったの?」

 

「そうなんです・・・」

 

田舎の良さなのか、そのおばちゃんが単に図々しいだけかはわからないけれど、雪道でヒッチハイカーに会うなんて、

 

本当は雪女ではなかったのか・・・

 

ブルブルッ!