今年の月一企画、「一瞬を切り取る」も今回で最後となる。
毎日の生活はしなければならないことで満ち溢れていて忙しい。人生は流れる大河のようで水滴の一滴一滴に注意を払うことはない。
今年の月一企画はそんな忙しさや連続性のために気づかない、気づくことのできない一瞬に焦点を当て、認識し、新しい何かを発見しようとしてきた。
最終回の今日は、敢えて「生きること」を選びたい。
人生は100年時代に入ろうとしているとは言っても宇宙の歴史138億年、 地球の歴史46億年、先史時代を含めたら人類の歴史1億年に比べたら人の一生は一瞬だ。
それに加え、ポーラ・コールの歌を聴いていて耳に飛び込んできた歌詞"All we have is this moment." が心の中に住み着いて離れない。
「私たちが手にしているものはこの瞬間だけなの」
我々は過去にも未来にも行くことはなく、この瞬間にしか生きていない。
昨日も明日もここにはなく、体験するどころか手に触れることさえできはしない。
とすると、生きていること、そのこと自体が一瞬の積み重ねに過ぎず、その一瞬の繰り返しを感じることのみが人生を謳歌する唯一無二の方法だ。
コンビニのおにぎりを食べるときはお米の一粒一粒を味わってみるべきだし、髭剃りは一剃り一剃り丁寧に刃を滑るべき。息を吸って吐くのも歩くのも眠りに就くのも文字を追うのも今を感じながら雲の流れを追いかけるのも言葉を交わしたり、走ったり、手を洗うのも全く同じ。
そんな風に日々意識することなく流れ去っていく一瞬を切り取って味わってみる。
そうして初めて我々の住んでいるこの世界が奇跡という構成物でできていることに気づくことができるのではないだろうか。
一瞬を切り取る ー走るー
一瞬を切り取る -声を出す-
一瞬を切り取る -雲の流れ-
一瞬を切り取る -今を感じる-
一瞬を切り取る ー読書ー
一瞬を切り取る ー眠るー
一瞬を切り取る -歩く-
一瞬を切り取る -呼吸-
一瞬を切り取る -髭剃り-
一瞬を切り取る -おにぎりを食べる-