あるラーメン屋さんでのこと。
そのお店は人気店でコロナ禍にも拘らずお昼前なのにちょっとした行列ができていた。
厨房を囲んでカウンターだけの小さなお店には夫妻と思われる二人とベテラン助手のような男性店員、計3名がせわしなく小気味よく働いている。
マスターがラーメンの湯揚げとスープの加減を確かめ、助手が焼豚やメンマやネギをはじめとしたトッピングを担当して奥さんが接客担当。
カウンター越しにテキパキ働く助手の動きに目を奪われ、気がついた。その助手の手が白い。
何度も何度も何度も洗っては、焼豚を、メンマを、ネギを、手に取り、盛り付けていく。
一通り終わると手を洗い、拭き、焼豚を乗せ、メンマを盛り、ネギを重ねる。
その繰り返しを永遠に続けていく。
その動作が白い手が生む。
働く人の手だ。
カウンターの下にある自分の手をじっと見た。