Out to help


先日の日本経済新聞の記事に目が止まった。


英国流「GoToイート」の成功に学ぼう:日本経済新聞

英国流「GoToイート」の成功に学ぼう
 
ロンドン 篠崎健太
日経ヴェリタス 学ぶ
2020/9/13 2:00 [有料会員限定]
外食の代金を半分補助します――。新型コロナウイルス禍で打撃を受けた飲食業界を支援する、8月限りの消費喚起策が英国で大きな効果をみせた。対象日は予約が埋まるレストランが各地で続出し、苦境の外食産業に晴れ間をもたらした。財政面の負担は決して小さくないが、的を絞った緊急経済対策の良い前例になりそうだ。

「Eat Out To Help Out(外食して助けよう)」と銘打ったキャンペーンは、8月の月~水曜日に実施された。値引きは1人あたり1回10ポンド(約1400円)までだが、適用日は参加店での飲食が何度でも半額になる。会計から自動で割り引かれるという手軽さも受け、利用総数は1億件に達した。英市民が平均1.5回使った計算だ。

レストラン予約サイトのオープンテーブルでは8月、英国の利用者数が対象日だけ顕著に膨らんだ。休日と重なった最終日の8月31日には前年同日比3.2倍に。当該日は街中への人出が増えたとの報告もあり、個人消費を大きく押し上げたのは間違いない。

英国では新型コロナの感染拡大を受け、3月23日からロックダウン(都市封鎖)に入り、飲食店やパブなどが営業できなくなった。ロンドンがあるイングランドでは飲食店再開が7月4日と欧州主要国の中で遅れた。国内総生産GDP)のうち「飲食・宿泊業」は、4~6月期までの2四半期で計88%減と壊滅的な縮小に見舞われた。外食半額は業界の雇用維持策として打ち出したもので、スナク財務相は「これまで手がけたことのない策に挑戦する必要があった」として成功と振り返った。過大とは言えない評価だろう。

5億ポンド強をかけた政策の費用対効果の分析は今後待たれるが、今のところエコノミストらの評価は上々だ。オランダINGのジェームス・スミス氏は「レストランやバーでの食事の安全性に対する意識を高め、持続的な需要回復に資するだろう」とみる。英バークレイズのジェス・ステイリー最高経営責任者(CEO)は、利用者の5人に1人が支援へ積極的に外食を続ける意向とのデータを引き「文句なく好影響を生んだ」とコメントした。

英国の経験から読み取れるのは、分かりやすい値引き策は動員力が大きいということだろう。「月~水に外食半額」との単純明快な仕組みは、7月8日の発表から瞬く間に全土に認知された。効果に驚き、9月以降も自前で割引を続ける飲食店も相次いでいる。

日本で展開される外食需要の喚起策「Go To イート」も、一定の効果が見込めそうだ。ただ、自動的に会計から割り引かれて便利な英国の仕組みに触れた身からすると、ポイント付与や食事券で還元される制度はやや煩雑に映る。シンプルな仕組みをいかに迅速に展開するかが問われるだろう。

(ロンドン 篠崎健太)

日経ヴェリタス2020年9月13日号]

 

やはり誰かを助けるためにはうちに留まっていてはいけない。

 

積極的に外に出て行かなければならない。

 

"Help me to help you!"

 

Jerry Maguir(トム・クルーズ主演の邦題ザ・エージェント)の台詞を思い出した。

 

内から外へ。

 

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