制服を着た小学生の集団が電車に乗り込んできた。
小学低学年の子どもたちはカルガモの子どものようでなんとも可愛らしい。
電車の中で大人しくしている子もいれば仲の良い友達と楽しそうに会話しているグループもある。
駅に着いてドアが開くと女の子たちの話す声が大きくなった。すると、こんな声が聞こえてきた。
「あ、おわた・・・」
快速待ちで開いたドアとプラットフォームの間に女の子の一人がスマートフォンを落としてしまったようだ。
呆然となる女の子と周りの子たちの様子を心配した大学生っぽい大人が駆け寄り、一緒に降りて駅員さんにお願いしてあげるからと慰めている。
安心したのか、状況を漸く理解したからなのか、スマホを落とした女の子が急に大声で泣き始めた。
結局その女の子と何人かの友達も声をかけてくれた大人と一緒に電車を降りていった。
10歳にもならない子どもたちが自分たちだけで電車で通学する日本はなんて平和なのだろう。
困っている子どもたちに普通に救いの手を差し伸べる大人がいるこの国は捨てたものではない。
決して「おわた」でもない。