それは一瞬の出来事だった。
エレベーターから降りようとして、両耳からAppleの無線イヤホンAir podsを外してカバンに入れようとして手が滑った。
ケースは床に落ち、Air podsが両方ともケースから出て転がり、あっという間に片方がエレベーターとビルの隙間に吸い込まれていった。
隙間を覗き込むとそこには漆黒の闇が広がっている。
全てが一瞬の間に、スローモーションのように起きた出来事だった。
暫し呆然自失の状態が続くも我に返りその場を後にした。
ビルの管理室を訪ね、ダメ元で事情を説明すると、意外にも丁寧に対応してくれ、明日朝一でエレベーター会社を呼んで確認してみますとの温かい言葉。
一縷の望みを託して待っていると・・・
翌朝電話が掛かってきた。
「お問い合わせいただいた件ですが、今朝方エレベーターの管理会社を呼んでエレベーターを止めて探してみたのですが、あいにく見つかりませんでした。それでいいでしょうか?」
「それでいいでしょうか? ってよくはないでしょう。見つかるまで探して下さい!」
とは言えず、
「はい、大丈夫です。大変お手数をお掛けしました。ありがとうございました。」と言って電話を切った。
何ともさえない結末である。
Apple社のホームページを見てみると救済処置(片方だけ購入する方法)があるらしい。
取り敢えず数日は片方だけで過ごしてみよう。
様子を見て週末に片方の発注をする手続きをするか決めたい。
一瞬の出来事に皆様もどうぞお気をつけ下さい。