水無月の始まり

今日から6月が始まった。

 

日本経済新聞のコラム、春秋が秀逸だったのでそのまま引用したい。

 

春秋(6月1日):日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK311SN0R30C22A5000000/

この春に亡くなった俳優の柳生博さんは古い暦に関心を寄せていた。自著「和暦で暮らそう」で、古来の月の呼び名を紹介している。6月は水無月のみにあらず。田水之(たみの)月、風待月、鳴雷(なるかみ)月……。「研ぎ澄まされた自然に対する美意識」を感じさせる表現の数々である。

▼蟬(せみ)の羽(は)月、という異称もなかなか風流ではないか。辞書を開くと、衣服がセミの羽のように薄くなる意味だという。陰暦だから現代なら7月ごろにあたるのだが、数日前の暑さを思えばぴったりと合う気もする。きょうからの採用面接解禁を前に、スーツの上着を片手に抱きながらオフィス街を行き交う若者の姿も目立つ。

総務省消防庁によると、日本各地で真夏日を観測した先月29日には、400人超が熱中症で搬送されたという。その後和らいだとはいえ、油断は禁物である。体が高温に慣れていない時期はリスクが高い。毎年6月に入ると患者が増える。小まめに水を飲む。屋外ではなるべくマスクを外す。対策を怠らないようにしたい。

▼とはいえ自衛には限界がある。このまま気温上昇が続けば、季節の風情を味わうどころではなかろう。ウクライナ危機で石炭の利用増加が懸念されている。都市化によるヒートアイランドも無視できない。「熱波月」やら「蒸し風呂月」やらの言葉が生まれてからでは遅い。いっそうの知恵を絞りたい、夏の始まりである。

 

梅雨の時期に「水無月」は不自然だと感じ、勝手に旧暦だからだと思い込んでいたけれど、改めて調べてみると、水の月(「無」は「の」を意味する)で、田に水を引く月の意味なのだとか。

 

季節を感じて、風流にいきたい。