鬼十則


随分昔のことになる。



雑誌の記事になっていた電通の「鬼十則」に心を打たれ、切り抜きをいつも目にする場所に貼っていた。



異動があり、ファイルにしまい込むと目にすることもなくいつの間にか忘れ去られていた。



長い時間が経ち、再び出合うことになった「鬼十則」は若かった時には理解し得なかった深みと凄みを讃えていた。



仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。



電通4代目社長吉田秀雄氏により1951年につくられた電通マンの行動規範。



もう一度見やすい場所に貼って私の行動規範にもしようではないか。