静かな掃除機があれば売れるのではないか。
幼い頃からそんなことを考えていた。
開いた傘に垂れるように少し長めの水避けフリルがあったら売れるのではないか。
それも小さな時から何となく感じていた発明品の一つ。
現代マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー氏が来日している。
低迷を続ける日本経済に欠けているもの、マーケティングの視点から求められているものは何かという問いへの回答に思わず唸った。
「消費者が求めているものを見つけるのは20世紀のマーケティング。21世紀のマーケティングは消費者自身が気づいていない欲しいモノを見つけて提案すること」
新しい技術や新しい製品が需要を喚起することを我々は経験を通してよく知っている。
それでも新しい製品は潜在的な需要があるからこそヒットするし、誰かの「欲しい」がなければ生まれない。
日本経済の低迷の原因は技術力不足ではなく、我々自身が何を求めているかを知らないからかなのではないか。
その問いを発していないからではないか。
何があればもっと我々の生活は便利になるだろう? 何があればもっと毎日の生活が楽しくなるだろう? 何があれば社会がもっと活気づくだろう?
自らに問うてみる。
静かな掃除機、水避けフリル付きの傘、自動写真整理アプリ、自動床拭き掃除機、洗濯物たたみ機・・・
意外に出てこない。
それが原因なのだと気づいた。