ある朝の玄関先でのこと。
前夜使って乾かせるために広げていた折りたたみ傘を畳んで鞄にしまおうとしたら傘袋が見当たらない。
「あれ、昨夜コートのポケットから出したのにどこ置いたんだろ?」
いつもは玄関に忘れないように置いているはずなのに見つからない。
支度をして家を出て、先に仕事に出掛けた妻に傘袋の在処を聞こうとLINEを打ち始めた瞬間、道端に落ちている傘袋を発見!
濡れてぐしゃぐしゃになった傘袋を拾い上げると安堵とともに切ない気分が湧き上がってくる。
前夜、雨上がりの帰り道、家に着く直前にコートのポケットから出してそのまま落としたようだ。
ギュッと絞って水を切り、持っていた小さなビニール袋に詰めて鞄に仕舞う。
「これ、このまま見つからなかったらどうしてたんだろう?」
ふと、そんなことを思う。
傘としての役割に棄損はない。
それでも使用後の濡れた傘を仕舞うのに傘袋はなくてはならない存在。
代用品でしのぐか、新しい傘を買うか・・・
傘袋の役割の大切さを再認識するとともに似たような役割をしてくれている人たちがいることに想いを馳せる。
持ち帰った傘袋を改めて洗い直し、乾かし、これからも丁寧に使い続けたいと思った。